今年もまた、長唄の練習を始めました。
10月と12月に発表会があるので、他の方の足を引っ張らないようにどうにかやっていきたいと思います。
今回は、「鶴亀」という曲です。
もとは能の演目で、歌詞をそのまま長唄に持ってきた作品らしいんですね。
皇帝と家臣たちが新年の宴会で泰平と繁栄を願ってどんちゃん鶴亀鶴亀、と盛り上がるという。←若干脚色含む。
とにかく縁起のいいものばかりを並べたおめでたい作品であります。
長唄の歌詞って、ちゃんと読んでみると、昔の言葉や文化が凝縮されていてとても勉強になるんです。というわけで、これまた突発的に、鶴亀の歌詞を勝手に分析してみることにしました。
久しぶりに電子辞書を出してきたら、案の定電池切れ。入れ直して久しぶりに復活させております。第二外国語に併せて買ったから、日中辞典が邪魔なんだけどねww
たぶん分析とか現代語訳とか、思い込みでかなり間違えると思うんですけど、まぁいたずらに日々の愚痴を書くよりは高尚チックでいいじゃん(どっちにしろ不毛)、ということでお付き合いください。
まず、全体の歌詞はこんな感じ。
それ青陽の春になれば 四季の節会の事始め
不老門にて日月の 光を君の叡覧にて
百官卿相袖を連ぬ 其数一億百余人
拝を進むる万戸の声 一同に拝するその音は 天に響きておびただし
庭の砂は金銀の 玉を連ねて敷妙の
五百重の錦や瑠璃の扉(とぼそ) しゃこの行桁瑪瑠の橋
池の汀の鶴亀は 蓬莱山も余所ならず 君の恵みぞ有がたき
如何に奏聞申すべき事の候
奏聞とは何事ぞ
毎年の嘉例の如く 鶴亀を舞わせられ
其後月宮殿に舞楽を 奏せらりょうずるにて候
ともかくもはからい候え
亀は万年の齢を経 鶴も千代をや重るらん
千代のためしの数々に 何を引かまし姫小松
よわいにたぐう丹頂の 鶴も羽袖をたおやかに 千代をかさねて舞遊ぶ
みぎりに茂る呉竹の みどりの亀の幾万代も
池水にすめるも安き君が代を
仰ぎかなでて鶴と亀 齢を授け奉れば
君も御感の余りにや 舞楽を奏して舞い給う
月宮殿の白衣の袂
月宮殿の白衣の袂 色々妙なる花の袖
秋は時雨の紅葉の羽袖 冬は冴え行く雪の袂を
翻す衣も薄紫の雲の上 人の舞楽の声々に
霓裳羽衣の曲をなせば 三河草木 国土ゆたかに
千代万代と舞い給えば 官人駕輿を早め
君の齢も長生殿に 君の齢も長生殿に
還御なるこそ目出度けれ
分析いってみよー。とりあえず今日は、眠くなってきたので最初の段落だけでーす。
それ青陽(せいよう)の春になれば
青陽とは春の異称。「ほら、春の春になったから」……と訳すとのっけからおかしな配置ですが、要するに「めっちゃ春!」という意味合いなんでしょうな。あ、ちなみに春は「新春」の春で、4月じゃなくて1月正月のことです。
この一言はタテ(歌の一番の人)が一人で歌いますが、独特の節回しでけっこう好きな音節です。難しいけど。
四季の節会(せちえ)の事始め
ここから全員でツレ(全員で歌うことをツレと言う)。節会は、古代朝廷で節句や儀式の開催に併せて帝臨席の下で開かれた宴会のことです。四季のなかでも事始め=一番最初ですから、正月の節会のことを差しているのが分かりますね。
不老門にて日月の 光を君の叡覧(えいらん)にて
漢詩に、「長生殿裏春秋富 不老門前日月遅」というのがありまして、書き初めでもよく使われる有名な一説だそうですが、あとで出てくる「長生殿」と併せて「不老門」(中国洛陽城門の一つ)はそこから来ている歌詞です。
「長生殿の裏は春秋に富み、不老門の前では日月が遅くなる」
春秋、日月、ともに「年月」を差す言葉。「春秋に富む」は将来性がある、年若く先が長い。日月が遅くなるとは、時の経つのが遅い=長寿。これに「不老門」まで付きますから、どこまでも長生き!ということですね。
叡覧は、帝が何かを見るときの尊敬語。最高級の「見る」表現です(笑)「不老門で日月の光を君=天子様がご覧になる」ので、皇帝長寿だけでなく国家安寧を表現していることになります。
……なーんて、仰々しく解説するほどの一節でもなかったりしますけど。あは。
百官卿相(ひゃっかんけいしょう)袖を連ぬ
その数一億百余人
百官卿相は古代史を学んだ人にはおなじみのお言葉ですね。百官はいっぱいの役人。百は百人ではなく、「いっぱい」を意味します。「数えられないくらい」という単位です。卿相は、そんじょそこらの役人よりずっと格上の公卿たち。公が太政大臣・左右大臣で、卿が大・中納言、参議と三位(さんみ)以上のエリートさんたちをひっくるめたのが公卿です。上達部(かんだちめ)とも。
役人大勢と公卿が立ち並ぶ、その数一億百余人……っていうんだから、すごいですねー。B'zやGLAYの5万人ライブとか目じゃないですよ。会場が広すぎて、帝の顔なんて一生かかってもおがめません。中国仕様だからあり得るかも?……というのは冗談です。
拝を進むる万戸の声
万戸の「万」も、「いっぱい」の意味。あっちこっちの家々からも拝舞(はいむ)する声がするよー、と。国中、正月の異様な盛り上がりです。
一同に拝するその音は 天に響きておびただし
そりゃ、国中総出でハイテンション☆なんだから、空まで響いてもおかしくないですわな。
……というわけで1段落。
明日は出張お泊まりなので、続きはまた日曜日以降に。







